恥を知る‼日本人の心情




感動を呼ぶ、ひとつの話(日本の昔話)

昔、一人の浪人がいた。妻をなくし子供が一人あった。
町人の子供たちと遊んでいた浪人の子供が、皆と同じに「私も赤いご飯食べたよ」と語った言葉を聞いた。

その子らが家に帰って「浪人の子供も赤飯食べたんだって」と家のものに語った一言が.....

その頃近所で小豆が盗まれることがあったので、話を聞いた人々が、あの浪人が小豆を盗んだに違いないと思い込んで、皆で浪人の家に行き、寄ってたかって責め立てた。
もはや浪人に、弁解は許されざる状況であった。

その浪人は、その時我が子を見据えてこう語った。

「武士は辱しめを受ければ死す...」

「覚悟いたせ、その方の腹の内を見せてやらねばならぬ!父も、すぐ後を追う故に許せよ....」と

幼児は、かねてより「武士の意気地」について聞かされていたので、幼くても既に覚悟はできていた。

父は我が子の背後に回り、短刀を持ってその腹をかっさばいた!そしてその腸や胃の中にあるものを出して見せた。それは、消化されていない「川海老」であった。

これを見た町人たちは、ア!!と驚くが、既に遅し。

まさか!武士は辱しめを受ければ切腹するとは聞いていたが、まさか自分の子供までも切腹させるとは思わなかった。

浪人の弁解を聞かず、小豆泥棒に仕立てあげた、取り返しのつかないことをした愚かさを悟ったが、遅かった。

「おのおの方、これでよろしいか.....」

我が子よ許せ、と止めの一刀を心の臓に与えて、その返す刃で己が
腹に突き立て、また腹を開いて中の物を出したが、そこにはなにもでなかった。

空腹に耐えながら、武士は我が子にだけは、祝いの赤飯を作って与えていたのである。

「渇しても盗泉の水は飲ます....」とは、武士の心情であった。


町人たちは、この武士の行動に驚くと共に、自らの愚かしさと過ちに恥じたと言う話である。

この話は日本の江戸時代の話です。