幻の名作『デビルマン』

永井豪の作品のなかで最高傑作は「デビルマン」であることに異論はないであろう。

この作品は『魔王ダンテ』の延長線上にあるだけでなく、人間の真の存在を露にした作品である。永井は作品の制作課程で意識レベルが格段に向上している。そして非常に哲学的な仕上がりとなっている。作者自信も執筆中に色々な神秘体験を経験している。

飛鳥了は悪魔と合体するには、人間の理性をなくさなければならないと言っている。

この事は、自分という小さな自我をかなぐり捨てないと、真の自己を獲得する事ができないと語っているのである。

それでは、悪魔とは何か?神とは何か?

不動明飛鳥了そして牧村美樹の役割とは何なのか?

神とは日常の意識である。眠りの状態である。そして悪魔とは、覚醒意識であり、真理である。

牧村美樹は日常に止まらせる力で変化を望まない作用を表す。

飛鳥了は一人の覚醒者で道を示す者である。

不動明は道を求める求道者である。

不動明が手にした力とは何か?

それは『客観意識』の発現である。この状態を得たものだけが真の自分を手に入れる事ができるのである。

キリストや仏陀がそれである。彼らは輪廻転生の呪縛から解放され、真の自由を得た存在と言える。

そしてこの物語は、最後にハルマゲドンを迎えるが、これを次元上昇ととらえるか下降ととらえるかは、あなた次第です。